胸部3次元CT画像からの肺野領域の抽出

胸部3次元CT画像から、肺野領域を抽出し観察します。(※対象画像は日本医用画像工学会提供;手順は文献[1]に準拠)

課題:肺野領域は体外の空気層と近似したCT値を取るため、CT値のみによる閾値処理では両者の分離は困難です。また、類似した値の微小領域が雑音領域として多数生じることが考えられます。

MyriaViewを用いた解決手法:等値面構造解析に基づき、肺野領域として取り得る体積に相当する領域を抽出し、また微小領域を除去します。複数得られる抽出結果から、目視により個別の領域を選択します。

入力データ:チャンネル数=1(CT値)、次元数=3(320x320x25ボクセル)の2バイト符号なしバイナリデータ

処理手順:

(1)データ形式を指定の上、1チャンネル(ICh0(CT値))・3次元(IDim0(右→左)IDim1(前→後)IDim2(上→下))のデータとして入力します。この例では入力時にサンプリング間隔を調整し160x160x25ボクセルにダウンサンプリングしています。(MyriaView操作:メインウィンドウのメニュー>[File]>[Load Data]で表示するウィンドウ内で処理)

(2)表示チャンネル・表示空間軸の条件を設定します。(MyriaView操作:メインウィンドウの[Set Channels/Dims View+]ボタンで表示するウィンドウ内で処理)

(2-1)表示チャンネル数=1、 表示チャンネルP=ICh0とします。必要に応じて離散化条件を調整します。

(2-2)表示次元数=3、表示空間軸X=IDim0、Y=IDim1、Z=IDim2として3次元画像を表示します。

(3)必要に応じてカメラ方向等の表示条件、カラー・不透明度マップの設定を調整します。(MyriaView操作:メインウィンドウの[Display Condition]タブ内で処理)

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(4)等値面構造解析を行います。肺野領域のCT値は他の組織と比較して小さいため、低CT値を前景として処理します。(MyriaView操作:メインウィンドウの[Analyze Isosurfaces]ボタンで表示するウィンドウ内で処理)

(5)等値面内領域サイズを基準として領域抽出を行います。(MyriaView操作:メインウィンドウの[Extract Thresholded Regions/Local Extrema+]ボタンで表示するウィンドウの[Thresholding]タブ内で処理)

(5-1)等値面内領域サイズの最大値を肺野の取り得る体積の最大値に設定

(5-2)微小領域を除去するよう等値面内領域サイズの最小値を設定

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(6)目視により個別領域として肺野領域を抽出します。(MyriaView操作:メインウィンドウの[Extract Thresholded Regions/Local Extrema+]ボタンで表示するウィンドウの[Select Region/Extremum]タブ内で処理)

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(6)必要に応じて原画像と領域抽出結果を統合表示します。(MyriaView操作:メインウィンドウの[Display Condition]タブ内で処理)

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<参考文献>
[1]水田:等値面内体積を用いた3次元濃淡画像からの領域抽出, 第32回日本医用画像工学会大会予稿集 OP1-4(2013年8月).

 

最終更新:2015年6月9日

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